病気の予防のためにも
避妊手術が大事なことは以前にもお話ししました。それはわかっているのだが麻酔が....という方も多いと思います。私どもも全く同じ気持ちです。そこで麻酔をかけるにあたってはたくさんの麻酔モニターを使用しているのを以前お見せしました。それだけではなく、麻酔前には通常の身体一般検査だけではなく、血液検査や場合によってはレントゲン撮影検査なども行っています。これを術前検査と言います。

1歳6カ月の女の子です。今日は避妊手術に来ました。
ファミリー動物病院では手術は午後12時から午後3時の間に行いますが、術前検査があるので午前中に入院していただきます。

猫の採血は通常内股の静脈を使います。

血液は放っておくと固まってしまいます。これは皆さまも外傷で出血した時に血液が全部なくなってしまわないように固まってくれるわけです。ただしこの能力は血液検査の邪魔となりますので写真のようにヘパリンという血液を固まらせないようにする薬剤(抗凝固薬)の入った容器に移します。

次に遠心分離器にかけます。これにより血漿分離を行います。

血漿分離が終わりました。下の赤い部分が赤血球で上の透明な部分が血漿です。

検査したい項目がこのようにスライドになっているのでここからセレクトします。例えば腎機能を見たければBUN、CRE他、肝機能ならGOT、GPT他などです。皆さまも職場や市の健康診断で見たことがあるような項目だと思います。写真に写っているのは一部です。

検査をしたい項目をセレクトしたらこの機械です。

先ほど血漿分離した血漿部分(透明なところ)を使います。

血漿部分は電解質測定に利用されることもあります。

電解質の測定はこの機械です。

先ほどとは違う容器に入れた血液です。この容器にはEDTAとよばれる抗凝固薬が入っています。検査する項目によって採血した血液を分けていろいろな容器に入れておかなければなりません。

専用のガラス管に吸い取ります。

専用の遠心分離器にかけます。

遠心分離の終わったガラス管をこの機械に入れます。この機械は赤血球数や白血球数、血小板数(出血がきちんと止まるか)などを測定することができます。こうして数々の検査を術前に行います。
ファミリー動物病院では去勢、避妊手術の術前検査も費用に含まれております。よく去勢・避妊手術の費用を聞かれることがありますが、このように術前検査の有無やPKシステム(以前の日誌参照)、卵巣・子宮もきちんと摘出しているか、吸収する縫合糸を使っているかなど、手術費用が各病院によって様々なのには理由がありそうですね。
ファミリー動物病院はその全てをしっかり行っているのが今までの日誌でもお分かりですよね。お大事に。