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肝臓の数値が高い


3歳4ヶ月のトイ・プードル、男の子です。小さい頃から血液検査で肝臓の数値が高いとのことでした。食も細いようです。血液検査ではやはりGOT、GPT他、肝疾患の指標である数値がびっくりするほど高かったです。本犬は症状はありません。でも肝臓の数値が幼い頃から高いというのは異常なので、先天性の疾患を疑い総胆汁酸という項目を測定しました。こちらは空腹時と食後2時間を測定しますが、いずれも正常値を大きく超えておりました。


こちらは総胆汁酸の流れを模式図にしたものです。総胆汁酸は肝臓で生産される胆汁の材料の一つで、食事中の脂肪の消化には欠かせないものです。総胆汁酸は胆汁として消化管に排泄され、食事の消化吸収で消化管の血液に取り込まれて門脈から肝臓に戻り、また胆汁の材料となり消化管に排泄されるリサイクルを繰り返しているわけです(黒い矢印がその流れ)。したがって、この図の採血、いわゆる静脈から抜いた血液には少量の胆汁酸しか流れてないはずなんです。


幼少期の肝臓の数値が高くなる先天性の病気の一つに門脈シャントという病気があります。この図のように、本来門脈から肝臓を経由して後大静脈血液に流れていた血液が、シャントと呼ばれる血管が存在することによって肝臓を通ることなく門脈から直接、後大静脈に血液が流れてしまうため、胆汁酸が肝臓で使われなくなり、採血すると正常よりも多くの胆汁酸を含んでいる結果が出るわけです。したがって、総胆汁酸値が高いということは門脈シャントの疑いが出るわけです。


腹部のカラードップラー検査を行いました。肝臓自体に問題はありませんでした。しかし、後大静脈と門脈が隣接しておりました。赤い2本の線がそれぞれの血管です。シャントの仕方には様々なものがあり、血管の奇形も考えられる所見でした。確定診断には造影、CTスキャナーが必要だと思われます。お大事に。ファミリー動物病院

プロフィール

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ファミリー動物病院(調布市)の診療日誌を時間が許す範囲でつけていこうと思います。https://www.familyah-sengawa.com/
これは日々当院に来院される患者さまにその設備などをお披露目する機会がなかなかないので症例を報告しながら見ていただけたらと思います。
症例報告に当たっては我々がどのような病気と日々奮闘してきたかもご覧いただき、参考にしていただけたらと思います。
症例報告なのでやや生々しい画像も含まれることがありますので見るに当たっては自己責任にてお願いします。

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