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新たな医療設備

ICUを新しいものにいたしました。それにあわせて酸素濃縮器も購入いたしました。どんなものでしょうか?


開業以来ずっと使っていたICUです。9歳4カ月の女の子の猫が入っております。今年の8月の症例です。重度の肺炎で、呼吸困難で来られました。浅くて速い呼吸をしておりました。肺の炎症により肺の機能が低下し、酸素が足らなくなり、それを補おうとして呼吸が速くなってしまったのです。ICUの入院室に入れることにより大気中の酸素より高濃度の酸素で満たしてやることによって機能の低下した肺でも体の低酸素を改善してあげることができます。


ICUにいれて4時間後です。丸まって寝れるようになりました。犬でも猫でも呼吸困難になると寝ることができません。体を横たえてしまうと、自分の体重(自重)で肺を圧迫し、より呼吸が苦しくなるからです。ICUドアの表面が透明なため反射して写真が写ってしまいました。すいません。とても呼吸が楽になりました。よかったね。


これが今回購入した新しいICUです。今までのものと比べてより密閉性が高くなり、大気中は20%の酸素濃度を30%以上任意で上昇させることが可能です。また、中に動物を入れると通常本人の吐く息(呼気)に含まれる水蒸気で中の湿度が異常に上昇しますが、このICUは除湿機能に優れております。また、中が温室のようになって高温になってしまうところを冷房によって一定の温度に下げることができます。逆に低体温の子には暖房をかけることもできます。病気の子だけでなく、手術の前後に使用することにより更に安全な手術が可能となりました。


酸素濃縮器です。こちらは大気中の酸素を濃縮することにより、酸素ボンベとほぼ同じ働きをしてくれます。つまり、今までは酸素を使う時には酸素ボンベが必要でした。酸素ボンベは例えば夜間や祝日など酸素ボンベが購入できない時に切れてしまうのが不安でした。ファミリー動物病院は年中無休なので。でも今後は在庫を気にせずに酸素を使用できます。これらの新しい設備により救命率は今まで以上に上がることでしょう。ただこれらが活躍するということは苦しい動物が出てしまってる時だということだから、活躍できない世界の方が動物にとっては平和ですね。でもそうなってしまった時は、なるべく多くの動物を救いたいと思います。

プロフィール

familyanimalhospital

ファミリー動物病院(調布市)の診療日誌を時間が許す範囲でつけていこうと思います。https://www.familyah-sengawa.com/
これは日々当院に来院される患者さまにその設備などをお披露目する機会がなかなかないので症例を報告しながら見ていただけたらと思います。
症例報告に当たっては我々がどのような病気と日々奮闘してきたかもご覧いただき、参考にしていただけたらと思います。
症例報告なのでやや生々しい画像も含まれることがありますので見るに当たっては自己責任にてお願いします。

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