
ガス滅菌器を買い換えました。今まで使っていたものはガスを手動で注入するタイプだったので、時間がかかるのと、操作者が慣れていないと誤ってガスを吸ってしまう危険性があるため滅菌操作ができる人間が限られてしまうのが難点でした。今日が初始動でした。手術の後は次の手術に備えて手術器具を滅菌しておきます。

外科を行う病院には必ず滅菌器が必要です。手術で使う道具に存在しうる全ての微生物、ウィルスを死滅させる必要があるからです。手術部位に微生物やウィルスを付けるわけにはいきません。ちなみに殺菌とは菌を殺す状態の事を言い、ちょっとしか菌を取り除けなくても殺菌ということができます。しかし滅菌は全てを取り除いた状態を指します。よく病院のスリッパに紫外線を当てている器械がありますがあれは滅菌ではなく殺菌です。ちなみに消毒とは菌を健康に害がでなない程度に減らすこと、抗菌とは菌の繁殖を抑えることで減らすことではない、というのがだいたいの概念です。

形は似てますが、こちらはオートクレーブという滅菌器です。蒸気を利用し高熱で滅菌します。
ファミリー動物病院ではこれら2台の滅菌器を使い分けております。

カストと呼ばれるこのケースに手術器具を入れオートクレーブにかけます。オートクレーブは熱で滅菌するため熱で変形するもの、燃えてしまうものは滅菌できません。132度までよいとされている電気メス(特に電気のコード部)も要注意です。なぜなら蒸気を利用するため滅菌するものは濡れてしまします。そこでこの機械は乾燥も行うのですが実を言うと乾燥時は180度まで温度が上がるため、132度までOKの器具でもそういった器具はガス滅菌の方を選択します。

ガス滅菌器、オートクレーブ、どちらも器械の中は円形になっております。どちらも中は高圧力(圧力なべみたいに)になるため、その力に耐えるために円形になっております。炭酸飲料のペットボトルの底が円形なのと同じ理由です。手術器具だけではなく、いろいろなものを滅菌することにより院内感染を抑えることができるため、とても大事な器械となります。