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アジソン病


14歳8カ月、ウェスティーの女の子です。今年にはいって吐くことが多くなってきました。この子は去年も植物の種を飲んでしまって、腸閉塞を起こし、手術して一命を取り留めております。でも今回は異物ではないようです。血液検査でBUN、CRE、Pという項目があるのですが、全て正常値の3倍~5倍以上に上がっておりました。この3項目に共通しているのは腎不全です。腎不全になると尿という形でこれらを体外へ放出したりすることができなくなり、体の中に置いておくと害のあるものが捨てられなくなるのです。体の中に害のある物質がたまると、脳は体に危険な物質がたまるのを感知してそれを体外へ排出しようとして嘔吐し始めます。これを尿毒症といいます。BUNが100を超えてれば当然腎不全で吐いていてもおかしくない状態です。腎臓透析を行いました。すると電解質のK(カリウム)が上昇し始めました。カリウムの上昇は腎不全では乏尿という尿が出なくなるまで悪くなったときに起こる現象です。ところがこの子は利尿が透析により起こっております。カリウムが上昇するほど細胞の破壊が起こっているとは思えません。この様に電解質であるカリウムが上昇する病気にアジソン病というのがあります。副腎皮質ホルモン(ステロイド、ミネラルコルチコイド、他)の分泌低下が起こります。単なる腎不全に思えなかったので、アジソンを診断するためにコルチゾール値を測りました。案の定、吐くという病気のストレス、病院で検査を受けるというストレスを受けているにもかかわらず、正常値よりも低く出て、ステロイドの分泌がされていないことが証明されました。アジソン病は症状の一つに吐くがあります。つまりこの症例は腎不全、アジソン病という2つ吐くという原因となりうる物を持っていたのです。今日の検診で、BUNは相変わらず100を超えておりましたが、アジソン病の治療薬で吐かなくなりました。アジソン病はよく診断いたしますが、やはり臨床経験がないと見逃しやすい病気です。


1月17日に避妊手術をした子の検診です。今日で術後8日です。


4日ほどシュンとしていたようですが、体重は変わりませんね。傷もきれいです。なめ壊したりしなかったようです。今後もワクチンやフィラリ予防などありますが、その都度健康チェックはしていきましょうね。お大事に。ファミリー動物病院

プロフィール

familyanimalhospital

ファミリー動物病院(調布市)の診療日誌を時間が許す範囲でつけていこうと思います。https://www.familyah-sengawa.com/
これは日々当院に来院される患者さまにその設備などをお披露目する機会がなかなかないので症例を報告しながら見ていただけたらと思います。
症例報告に当たっては我々がどのような病気と日々奮闘してきたかもご覧いただき、参考にしていただけたらと思います。
症例報告なのでやや生々しい画像も含まれることがありますので見るに当たっては自己責任にてお願いします。

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